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舌の痛みを治す-症例2

50代 女性

10年ほど前から口の中や耳、顔、首が痛くなり、痛み止めを飲んでも痛みが治まりません。整形外科、内科、歯科、耳鼻咽喉科と順番にかかりましたが、はっきりとした原因は見つからず、有効な治療は受けられませんでした。整体でマッザージ、鍼灸院でハリ治療とさまざまな方法にトライしましたが、あまり効き目がありません。一か月前からは舌のピリピリとした痛みが加わり、顔や首の痛みも続くため来院されました。

 診察してみると、舌の粘膜に食いしばりによる歯型がついていること以外、何も異常が見当たりません。唾液の分泌量も正常で、一部の歯に歯周病が見られたものの歯や顎にも異常はありませんでした。ただし顎関節周囲の顔面や首の筋肉は凝っていて、食いしばり(歯列接触癖)の悪影響があることは確かでした。

  TCH1   TCH2
 

歯が接触している

 

歯が離れている

以上の診察結果より、舌の神経に異常があるタイプの舌痛症と歯列接触癖による筋・筋膜痛と診断しました。

 まず、歯列接触癖を改善するための取り組みとして初診日から漢方薬(柴胡加竜骨牡蠣湯)を開始しました。同時に歯磨きの練習や歯石除去などの歯周治療も始めます。2週間後に来院された時には、舌のピリピリした痛みは楽になりつつあり、顔や首の痛みも改善されてきたということだったので、漢方薬を継続することになりました。その2週後には「もうどこも痛くない。10年間の痛みは一体何だったのでしょう」との感想でした。漢方薬をさらに1か月継続し、痛みがないことを確認して薬を中止しました。

 歯周治療が終了した後は、歯周病に対するメインテナンスを継続していきました。この間痛みは治まっていましたが、初診から1年後に舌の痛みが再発し、下唇もピリピリするようになりました柴胡加竜骨牡蛎湯。前回と同じ漢方薬を2週間飲んでもらいましたが、痛みは軽減されません。そこで漢方薬を半夏瀉心湯に変更し、さらに抗けいれん薬のリリカを一緒に飲んでもらいました。2週後に来院された際には痛みが軽くなっていたので、リリカと漢方薬をさらに4か月継続したところ痛みはなくなりました。薬による治療で痛みが消失した場合、薬を止めると痛みが再発する心配があるため、本来はしばらく薬を継続する方が安全です。しかし「薬はなるべく飲みたくない」と希望されたため、薬を止めてみることにしました。幸いその後も痛みは再発せず、現在も歯周病のメインテナンスのために通院されています。

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