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舌痛症の検査法

 舌粘膜の異常の有無にかかわらず、今までにご紹介したような問題について詳しくチェックする必要があります。検査法はいろいろありますが、検査前の問診でわかることもまたたくさんあります。問診ではいつから、どのようなきっかけで、どの部分が、どのように痛むのかを詳しく尋ねます。最初に現れた症状がその後どう変化し、現在はどんな状態であるのかも尋ねます。痛みの強さやタイプ、痛む回数や持続時間、同時に起こる症状、悪化させる要因、軽快させる要因、痛いとき反射的に出る行動についても尋ねます。

1.視診

 舌粘膜の異常は見ただけでかなりの程度わかるもので、口腔がん、口腔カンジダ症、口腔扁平苔癬、扁平苔癬様病変、紅板症がそれに該当します。粘膜が乾燥していたり、唾液が泡状になっていたらドライマウス、舌の縁がギザギザしていたり、頬粘膜の前後に筋状の白線が付いている場合は歯ぎしりや食いしばりの形跡であるとわかるのです。

2.触診

 粘膜に触れたとき、しこりがあれば口腔がんの可能性があります。顎の下のリンパ節がぐりぐりと腫れている場合は口腔がんのリンパ節転移かもしれません。また、粘膜が白くなった部分をガーゼで取り除ける場合は口腔カンジダ症によって生じた偽膜であると判断できます。見た目が正常な粘膜をそっとなでるだけで痛みが生じる場合は神経障害性疼痛による異痛症や痛覚過敏であり、同時に感覚の鈍化が観察されます。

3.真菌検査

 滅菌した綿棒の先で舌粘膜をこすって検体を採取します。真菌検査口腔カンジダ症の場合は検体をプレパラートにこすり付けて染色し、顕微鏡で観察するとカンジダ菌が観察できます。また、綿棒から採取した検体を培養すると真菌(カビ)の塊が生えてきます。

4.口腔粘膜湿潤度

 ムーカスという機械を舌粘膜に押し当てると、粘膜が潤っているのか乾燥しているのかが数値で表示されます。ムーカス検査

5.唾液検査

 唾液が出る量を計測したり、唾液の性質を調べたりする検査を行います。唾液の量が少なければドライマウス、唾液が濁っていたり変色したりしている場合は粘膜が傷ついていることがわかります。一見すると粘膜に異常が見当たらない場合でも、このように唾液の性質を調べると潜在する問題が見つかることがあります。

6.病理組織検査

 粘膜の一部を切り取って組織標本を作製し、顕微鏡で観察することを病理組織検査といいます。口腔がん、口腔扁平苔癬、扁平苔癬様病変、紅板症の場合はこの検査によって診断が確定されます。口腔カンジダ症についても病理組織検査を行うことがあります。顕微鏡 スライド

7.心理テスト

 舌の痛みが続くと、「舌がんかもしれない」「なぜ痛むのだろう」「この痛みはいつまでも治らないかもしれない」など、さまざまな思いが交錯します。時には不安や気分の落ち込みから、日常生活に支障をきたす場合もあります。ストレスに代表される心理的要因が痛みを引き起こしたり、痛みを長引かせたりすることも十分に考えられます。このような心理的問題を調べるために心理テストを行うのです。用紙に記入していただいた内容を採点すれば、不安や抑うつの程度だけでなく性格を知ることもできます。

 舌痛症には舌粘膜に異常が見られる場合と見られない場合の2通りがあり、検査方法もたくさんあることがわかっていただけたでしょうか。実際の患者さんは、舌粘膜の異常により食事中に痛みをおぼえると同時に食事以外の時間帯も痛みが続き、神経障害性疼痛も抱えていることが少なくありません。つまり、一人の患者さんの舌の痛みに二つ以上の原因があるということです。したがって、それぞれの問題に応じた治療が必要となります。

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