痛みは本人だけが自覚できる症状であるため、客観的な評価は難しいものです。また、病気の原因や治療法について研究する際には動物実験を行いますが、動物は痛みを訴えることができないため、データを取りにくいという問題があります。痛みを感じる脳は、他の臓器と比べて未だ未知の部分の多いブラックボックスなのです。
そのような経緯もあり、痛みの研究が目覚ましく進展することはありませんでしたが、近年の医学や生理学の発達に伴い、痛みのメカニズムが徐々に解明されてきています。遺伝子レベルで人体の仕組みを調べる分子生物学や、新しい機械を用いて脳の神経回路を調べる脳科学が発達したことが痛みの研究にも役立っています。
では、痛みに関する新しい研究結果をご紹介しましょう。