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痛みが伝わる経路

手足や内臓など身体のどこか(末梢)で生じた痛みは、脊髄などを通って最終的に脳へと伝わり、痛みとして感じます。その痛みに対し、脳が脊髄後角で痛みを伝える働きを鈍くする作用を下降抑制系といいます。痛みが伝わる経路について以下にまとめてみましょう。

1.痛みの原因となる出来事
  ・刺す、切る、捻る、挟む、圧迫する、打つ、引っ掻く
  ・寒、熱
  ・発痛物質
  ・筋緊張
  ・内臓痛(圧迫、収縮、拡張、閉塞、虚血)
  ・細菌感染

2.痛み刺激の発生
口腔・顎・顔面の細菌感染や外傷により、その場所に炎症性細胞や免疫細胞が浸潤してきます。浸潤した脂肪細胞やマクロファージからはセロトニン、ヒスタミン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン1β(IL1β)、C-Cケモカイン(CCL2)、アラキドン酸、神経成長因子(NGF)、ブラジキニンなどの発痛物質が放出されます。アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ2(COX2)によってプロスタグランジンE2(PGE2)に変わります。  

3.起動電位の発生

4.活動電位の発生
発痛物質が神経終末にあるさまざまなイオンチャンネルを開き、活動電位が発生します。例えば、43度以上の熱刺激が加わると、バニロイド一過性受容電位1(TRPV1)が開きます。機械刺激などによりアンキリン一過性受容電位1(TRPA1)、TRPV4が開き、化学刺激などによりプリン受容体(P2X)、酸感受性イオンチャンネル(ASIC)が開きます。触刺激に対してはPiezo2チャネルが開き、神経伝達に不可欠な分子はNav1チャンネルです。

5.1次ニューロンを上行
痛みにより生じた活動電位はAδ線維やC線維により中枢側へ伝わります。

6.脊髄後角でシナプス伝達
口腔・顎・顔面で生じた痛み刺激は三叉神経節というシナプスに伝わります。三叉神経節の脊髄路核―尾側亜核移行部(Vi/Vc)は延髄から脊髄にかけてあり、この部分や頸髄上部(C2)で痛みの信号を伝えます。シナプスにはオリゴデンドロサイト、アストロサイト、ミクログリアといった神経溝細胞が存在します。これらの細胞がインターロイキン1β(IL1β)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、プロスタグランジンを放出し、信号伝達を促進します。

7.2次ニューロンで活動電位が発生し、脊髄を上行
1次ニューロンからシナプス内にグルタミン酸、サブスタンスP(SP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、アデノシン三リン酸(ATP)などが放出されます。これらが2次ニューロンのα-アミノ3-ヒドロキシ5-メチル4-イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体、N-メチルd-アスパラギン酸(NMDA)受容体を通過し、活動電位が生じます。

8.視床を経由して大脳皮質体性感覚野に入り、痛みを感知します。視床から脳幹を経由し、大脳辺縁系に入ると不快感が発生しますが、視床から視床下部を通って大脳辺縁系に入るルートもあります。

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