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神経腫 症例

10代 女性

主訴

頬のしこり

現病歴

1年前に頬にしこりがあることに気付いた。痛みはなく、その後も症状は変化していない。

口腔内所見

右側頬粘膜の粘膜下に直径5㎜程度の可動性腫瘤を触知した。

病理組織学的所見

Solitary circumscribed neuroma (柵状被包化神経腫)

「二個の結節共に同様の所見を呈し、線維性皮膜状の結合織に囲まれ、末梢神経線維が複数集合し、撚り集まって単一の結節を形成する傾向にあり、部位・組織像より、いわゆる solitary surcumscribed neuroma (palisaded encapsulated neuroma)に合致します。

「solitary」と形容されていますが、実際には複数の結節を伴う症例が報告され、通常のneuromaが反応性の末梢神経増生として、結合織内に多数の神経線維が分散散在し、独立した結節を形成しないのに対し、「周囲から明瞭に境界された結節性増生」という意味で、「solitary(弧在性、単離性)」という形容詞が用いられていますので、病変の性格上、複数の結節が接近して見られるのは 寧ろ自然かとも思われます。悪性所見はありません。

この標本では、両結節共に切除端は病変(-)状にも見えますが、複数結節の有無についても御留意の上、御検索をお願いします。

Ref:
1. Reed RJ,Meltzer HD.Palisaded,encapsulated neuromas of the skin.Arch Dermatol.1972 Dec;106(6):865-70
2. Fletcher CD.Solitary circumscribed neuroma of the skin (so-called palisaded,encapsulated neuroma).A clinicopathologic and immunohistochemical study.Am J Surg Pathol.1989 Jul; 13(7):574-80.
3. Koutlas IG,Scheithauer BW.Palisaded encapsulated (“solitary circumscribed”) neuroma of the oral cavity:a review of 55 cases.Head Neck Pathol.2010 Mar;4(1):15-26.」

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