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ケタミンの点滴

論文・記事 2022年07月20日

口腔顔面痛に対してアミトリプチリン、アセトアミノフェン、カルバマゼピン、デュロキセチン、プレガバリン、ロキソプロフェンが使用されたにもかかわらず効果がなかった3症例です。いずれもケタミンを点滴して改善しました。ケタミンはNMDA受容体の働きを抑制し、痛みの伝達を押えます。

痛みの信号は末梢から中枢へとしナップスを介して伝達されます。シナプスに存在するNK1受容体にサブスタンスPが結合するとGタンパクを介して神経細胞膜中のホスホリパーゼC(PLC)を活性化します。PLCはホスファチジルイノシトール2リン酸(PIP2)をジアシルグリセロール(DAG)とイノシトール三リン酸(IP3)に分解します。DAGは細胞内のプロテインキナーゼC(PKC)を活性化します。

グルタミン酸受容体であるNMDA受容体はMgイオンによってチャンネルが閉じられています。先の反応によって活性化されたPKCがNMDA受容体をリン酸化し、Mgイオンが外れてグルタミン酸が結合しチャンネルが開きます。その結果、Caイオンが細胞内に流入して持続時間が長い興奮性シナプス後電位が生じ、痛みの信号が脳へと伝わります。

ケタミンは他の鎮痛補助薬とは異なる作用機序、すなわちNMDA受容体への拮抗作用を持っています。有力な治療薬ですが、呼吸抑制やけいれんが生じることがあり、これらに対応できる設備が必要です。

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