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生後2か月になる息子の上顎に原因不明の潰瘍が出来ました。

2008/11/10

相談:(34歳 女性)

生後2か月になる息子の事です。37週0日3238gで出生。黄疸がひどくなり光線を受けましたが、他に異常はなく元気でした。

生後2日目に上あごにミルクカスのような白い物を発見しました。その白いカスのようなものは大きくなり続け、大人の小指に先ほどの大きさになりま した。それが生後1か月頃に中心に小さな穴が見え始め、どんどん広がり、遂には上あごに穴が…潰瘍ができてえぐれてしまい痛がってミルクを飲めなくなって しまいました。

当然、脱水症状に陥ってしまい、入院して鼻からチューブを通してミルクを飲んでいました。2日間で口から飲めるようになって退院。(痛みが緩和されたのだと思います)

脱水症状に陥ったとき、白いカスが一時的になくなりましたが、退院後また付着し始め、範囲を広げ悪化しています。

現在は小児科・口腔外科を受診していますが、このような症例の経験がないそうで原因が分かりません。白カビ、ヘルペスウイルスが原因だと思われたのですが、検査の結果、違いました。カビでも口内炎でもないそうです。主治医からは悪いものではない。と言われています。

なぜ、上あごに穴があくのか?上あごにもともと穴が開いていて、何かのきっかけで潰瘍を作ってしまったのでしょうか?本当に稀な症状なのでしょうか?

まだ小さいので、検査をするにも難しいとのことです。他に考えられる原因はないものか…?と考えています。今後の成長の妨げにならなければ良いのですが…また、痛みが強くなって飲めなくなったら…と考えると不安になってしまいます。

回答:口腔内科 樋口均也

病状から推察して、口蓋に付着していたミルクのカス状のものは壊死・脱落した組織の可能性があります。担当医の説明通り、現在見られる口蓋組織の進行性壊 死・脱落症状は非常に珍しいものであると思われます。組織が肉芽様に変化して壊死・脱落するような疾患として、文献では腫瘍性肉芽腫、Wegener’s 肉芽腫、悪性肉芽腫、梅毒、真菌症、結核などが挙げられて います。しかしながら、いずれも新生児に発症するという報告はありません。

従って、症状の進行状況を観察しながら摂食・発育状態を見ていく必要があります。また、口蓋の欠損に対する歯科的な治療としては、欠損部を被覆する床装置が適応するかもしれませんが、原因の検索には病理組織検査や画像診断が必要となるでしょう。

小児科や口腔外科、耳鼻咽喉科等の医師の診察を受け、経過観察を続けてください。

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