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口の中が氷を入れたままのような冷たい感覚です

2022年11月15日

相談: (33歳 女性)

口の中がもう2ヶ月くらい氷を入れたままのような冷たい感覚で、唇と舌が少し痛くなってきていて、通院中の歯医者でも膠原病内科でも相談しましたが原因がわからない状態です。

味覚はあります。あったかいご飯や飲み物の熱さもわかります。指で触ればあったかいです。人と接する日常生活にはなんら問題ないです。ただ、なにをしていても常に感覚として冷えてます。特に寝る前は口元に意識が集中して気になって眠れず、睡眠があまり取れていない状態です。

これがキツい…2週間前に病院からメコバラミンという薬を追加していただき飲んでますが、良くも悪くもなにも変わりません。なにか原因がわかりますでしょうか。

回答1:口腔内科 樋口均也

「氷を入れたままのような冷たい感覚」ということから、次の2つの可能性が考えられます。口の中が冷えて冷たくなっている場合と、冷えた感覚があるだけで実際には冷えていないという場合です。

実際に冷えている場合は、口の中だけが冷えているのか全身が冷えているのかを確認する必要があります。冷えは血行不良や水分貯留によるむくみ、漢方のいわゆる「気」の働きの低下、脳の視床下部にある温度調節中枢の異常など、様々な原因が挙げられるため、まずは原因を確認する必要があります。漢方薬には血行を良くする、むくみを取る、気を補うなどの作用があるため、内服することにより症状の改善が期待できます。また、冷えは痛みにも関連するため、「唇と舌が少し痛くなってきている」症状も同時に軽減するかもしれません。

冷えているという感覚は、口腔粘膜に分布する神経末端部の「TRPA1」「TRPM8」といった温度感覚受容体(温度センサー)が感知し、この部分に異常があると冷えた感覚が生じます。TRPA1は冷感だけでなく痛みも感じ取るため、冷えて痛いという現在の状況が生じていると推察します。これらの温度センサーの異常を改善する薬は目下研究段階にあり、実用化されていませんが、抗うつ薬などの服用によりが神経の感覚異常の改善が期待できます。抗うつ薬や抗けいれん薬、漢方薬などは唇や舌の痛みに対しても効果的です。

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