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舌炎なのか舌痛症なのか何かわからなくて不安です

2020/01/08

相談: (33歳 女性)

はじめまして。お忙しいところ、申し訳ございませんが、よろしくお願いします。私は去年の3月ごろから、右の側面の舌がピリピリと痛むようになりました。この頃はまだ耐えられないような痛みではありませんでした。しかし、6月から急激に悪化しました。

右の舌が痛いのは、5.6番の歯が無いことが原因だと耳鼻科で言われたので、急いで義歯をつくりました。しかし、これがまた問題で、型取りや調整をするたびに擦れて痛くなり、痛すぎて発熱したりしました。結局義歯は使い物になりませんでした。

それから、耳鼻科やら口腔外科に行きましたが、いまだ治療法が見つかりません。医師から言われることは、地図舌があるということです。あとは発赤がありますが、潰瘍などはありません。

カンジダの検査をして、ファンギゾンシロップを使ったり、ポラプレジンクとアルロイドGを混ぜた液体の薬を処方してもらったりしました。先日は口腔外科に行き、先生は舌痛症の面からも治療を行うべきということで、抗うつ薬を飲みたくないと伝えたら、ランドセンを出してくれました(うがい薬として)。ランドセン使って2週間くらいです。

でも、まだ舌痛症なのか舌炎なのかわからない状態です。先生に言っても伝わらないのですが、途中から右の上や真ん中も痛くなって、(今は側面は治りました)右上のところは、ツルツル感がすごいです。よくその辺りが、赤色平滑舌になるのですが、糸状乳頭が生えてきても、上の歯茎につけたときにツルツル感があって気持ち悪いので、
いつも舌を低位においています。

舌炎なのか舌痛症なのか何か分からなくて不安です。普通の舌痛症と違う気がしています。舌痛症は痛み止めがきかないそうですが、痛み止めは効きます。あとは、話すことがとても苦痛です。何をしていても痛いです。ヒリヒリ、痺れ、灼熱感などです。唐辛子を食べている感じです。どうしたら治るのでしょうか。

回答:口腔内科 樋口均也

ご相談内容を拝見したところ、舌炎と舌痛症の両方の痛みがあるようです。

型取りや調整をするたびに擦れて痛くなり、痛すぎて発熱したりした
地図舌がある、発赤がある
右上のところは、ツルツル感がすごい
よくその辺りが、赤色平滑舌になる
痛み止めは効く
話すことがとても苦痛

これらの症状は舌炎を想起させます。治療が無効であったことから、カンジダ症ではなさそうです。亜鉛欠乏、鉄欠乏、肝機能障害の有無を確認するために、血液検査を受けましょう。舌炎の理由がわからなくても、漢方薬で改善できるかもしれません。

何をしていても痛い
ヒリヒリ、痺れ、灼熱感
唐辛子を食べている感じ

これらの症状は舌痛症を疑わせます。ランドセンのうがいは有力な治療法ですが、他にも三環系抗うつ薬、麻薬系鎮痛薬、アセトアミノフェン、漢方薬、トウガラシ製剤、プレガバリンといった薬が効く場合もあり、認知行動療法という心理療法も有効です。

 

2020/1/10

追伸 相談: (33歳 女性)

ご丁寧に的確に教えてくださり本当にありがとうございます。舌炎と舌痛症が混ざっている感じなのですね。採血は内科的なところで問題ないそうですが、亜鉛が通常より少し低めです。76くらいです。通常80らしいので、これが原因なのかはわからないそうです。

ランドセンはどのくらいで効果を発揮してくれるでしょうか。抗うつ薬は飲まないつもりでいるので、なんとかランドセンが効いて欲しいです。漢方は、柴朴湯と麦門冬湯とうんけいとう使ってましたが良くならないので、家にある六君子湯に変えてみました。他に有効な漢方はありますでしょうか。

アセトアミノフェン系の薬がよく効きます。でも毎日飲むのはあまり良くないでしょうか。あと、私は右下5.6番が欠損で、抜歯にいたるまで長い治療期間があったり、しばらく放置していたりで5年くらい右側で噛んでいませんでした。なので、右で噛んで飲み込むという動作がうまくできなくなりました。それも関係あるのでしょうか。色々聞いてすみません。

回答:口腔内科 樋口均也

亜鉛はわずかに低値ですが、それが舌痛と関連しているかどうかは不明です。亜鉛を補充してみて効果があれば、関連していたことになります。

ランドセンのうがいについては、過去の報告で2週間後にはっきりとした効果がみられたとあります。既にうがいを始めて2週間が経過していることから、何らかの効果がみられるかもしれません。

舌炎や舌痛症というような特定の病気に対して、有効な漢方薬が決まっているわけではありません。あくまで一人一人の病状や体質、すなわち証に応じたものなので、まずは正しく証を判定する必要があります。

アセトアミノフェンは、舌炎にも舌痛症にも効く可能性がある特殊な鎮痛薬です。よく効くようなので、この薬を継続するのがよいでしょう。アセトアミノフェンは鎮痛薬の中では副作用が少ないので、毎日服用しても問題はありません。ただし、定期的に血液検査などで副作用が生じていないかについてチェックすることをお勧めします。

右下の臼歯が抜けてないことと舌痛とは関係ないでしょう。歯が一部欠損している人が舌炎や舌痛症を起こしやすいというデータはありません。

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