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鎮痛効果のある薬剤3

薬剤・機材 2017年05月22日

カロナール

妊娠中や授乳中、小児によく用いられる解熱鎮痛剤にカロナール(薬剤名:アセトアミノフェン)があります。NSAIDsには催奇形性があり、また胎児の動脈管収縮作用により胎児の身を危険にさらすことがあります。カロナールにはこのような危険が少ないため、妊婦や小児にも用いやすい安全な薬なのです。
NSAIDsやステロイドは炎症を抑えることで鎮痛効果を発揮します。一方、カロナールはこのような消炎作用は弱いのですが、独特の鎮痛作用があります。この鎮痛作用がどこから来るのかといえば、中枢の下降抑制系を活性化することにあります。
セロトニン作動性下降性抑制系の脊髄側索と抑制性介在ニューロンである中脳中心灰白質はシナプスでつながっています。定常状態ではシナプス間に中脳中心灰白質側からGABAが分泌されていて、セロトニン作動性神経の活動を抑制しています。
アセトアミノフェンは肝臓でp-アミノフェノールに変化し、脳や脊髄に移行してAM404となります。AM404は体内で産生されるマリファナ様物質であるアナンダマイドを増加させます。このアナンダマイドが中脳中心灰白質のカンナビノイドの受容体(CB1)を刺激し、GABAの分泌を低下させます。この結果、脊髄側索からセロトニンが分泌されて鎮痛効果を発揮します。

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