相談: (31歳 女性)
左下の奥歯の根管治療を2カ月ほど前から始めました。なかなか良くならず、2本の根の間に大きく穴が開いていて、抜歯しかないと言われ ました。恥ずかしながら、今までに2本の抜歯を経験していて、歯の大切さを痛感しています。なので、出来れば抜きたくない、納得するまで色々情報をと色々 なHPを見て調べていました。そして意図的再植術のことを知り、こちらのHPを見ました。
実際見て頂かないと分からないとは思いますが、この様な場合でも意図的再植術をしていただいて可能性はありますか?今歯茎が腫れて、歯茎に白い出来物が出ています。
回答:口腔内科 樋口均也
下顎大臼歯は根が前後2本に分かれていることが多いという特徴があります。これら2本の根の間の骨が溶けてなくなることがあり、「根分岐部病変」といい、歯周病の形態のひとつです。
根分岐部病変は治療が難しく、抜歯が必要となることが多い病変です。「大きく開いている」ということですが、分岐部の骨が広い範囲でなくなっている状態を指してこのように言われたのでしょうか。確かにそのような状態では抜歯せざるを得ないように思います。
大きな穴が開いているのは根の裏面を指しているのでしょうか。虫歯を削る際に根の表面に穴が開いてしまうと、その周囲の骨が溶けてなくなります。このような状態も治すのが難しいといえます。
根の表面に穴が開いている場合はその穴をセメントなどで封鎖します。うまく封鎖できれば分岐部に骨が再成し、分岐部病変が治ることもあります。
頑大な土台(ポストコア)が入っていてそれを外せないような場合には穴を封鎖することができません。そのような場合に一度歯を抜いて根の外側から穴を塞ぎ、元の位置に戻すという治療法があります。このような方法を「意図的再植術」といいます。
根の中や表面には何も問題がなく、歯周病が原因で根分岐部病変が生じることがあります。この場合には歯肉を切開して根の表面に付着した歯石などを除去し、傷を縫合する歯周外科手術により、病変がなくなる可能性があります。骨移植なども一緒に行う場合もあります。