私が学生だった1980年代のことですが、免疫学の講義でリンパ球にはB細胞とT細胞があると習いました。B細胞は抗体を産生し、その働きが詳しく調べられていました。T細胞はB細胞よりも研究が遅れていましたが、CD4系のヘルパーT細胞(Th)、メモリーT細胞(Tm)、CD8系のキラーT細胞(CTL)、サプレッサーT細胞(抑制性T細胞:Ts)があると目されていました。
大学院(1987年~1991年)ではマウスの脚にがん(繊維肉腫)病巣を作り、放射線治療をするとキラーT細胞がどのように働いているかを調べました。具体的にはがん病巣中のキラーT細胞を免疫染色して調べたり、がん病巣や血液中のキラーT細胞の量を放射性同位元素の放射線量を測定して調べたりしました。その研究結果は日本癌学会や日本癌治療学会などで発表しました。
サプレッサーT細胞にかかわることはなかったのですが、1990年代になるとサプレッサーT細胞の存在が疑問視されるようになっていました。サプレッサーT細胞にはいろいろな細胞があり、ひとまとめにしてサプレッサーT細胞として扱うことに無理があったようです。その中から制御性T細胞(Treg)という真打が見つかり、名称も変わりました。