細越寛樹教授(関西大学社会学部社会学科)の講演です。慢性痛を抱える患者さんには苦痛と苦悩が混在しています。苦痛は「痛み」という苦しい体験であり、「身体」の問題です。苦悩は「痛み」に伴う困りごとで、破局的思考などの「認知」の問題、不安やうつなどの「感情」の問題、生活支障などの「行動」の問題です。
苦痛は心理的に介入しても直接的な効果に乏しいものです。一方、苦悩という社会心理的要因は認知行動療法により軽くすることができます。その結果、好きなことややりたいことに前よりも取り組めるようになります。痛み自体も副次的に軽くなることがあります。