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下顎を前方に移動させる顎位の矯正

メール相談 2012年11月21日

【相談者】2011年12月8日  女性 Y
矯正後の顔の変貌、体のだるさに悩んでいます。矯正内容は省きますが、スプリントを盛ることによって顎位を高くし、マウスピース矯正を経ました。顎 がだる かった訳でもないのですが、顎を出すだけ出したら楽になるというのでかなりスプリントを盛って顔が伸びました。マウスピース矯正でも、歯の部分だけではな く内側にもプラスチック部がついているものを使用し、それが終わった後、眼輪筋が引っ張られたためか、眼の下が大きく窪み黒ずみ、顔が長くなっていまし た。
姿勢を伸ばして顔を真っ直ぐにすると上下の歯が遠くて普通に口を閉じていても1.5cm以上開いているような感覚です。そのせいか、顔か ら首肩全体が左下方に引っ張られているようなだるさを常に抱えています。顔が長いのが嫌で、歯を近づけてぎゅっとしても肩が痛くなります。主治医に聞くと もう元には戻らないそうです。
眼の下の黒ずみ(2.5cm)、顔の長さ、体のだるさに死ぬほど悩んでいます。顔のどの部分が伸びたのかはっきりわからないのですが(主治医は歯が伸びたと言いますが、それだけではないと思います)、元のように縮めることはできないでしょうか?


【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
通常の歯列矯正ではなく、下顎を前方に移動させる顎位の矯正をされたようですね。そのために、歯の部分だけではなく内側にもプラスチック部がついているもの、すなわちスプリントが用いられたようですね。
このような矯正がどんな目的で行われたのでしょうか。顎関節の痛みに対してなのか、顔面の非対称性に対してなのか、どのような理由であ れ、結果は満足できるものではないようですね。上下の歯が遠く、普通に口を閉じていても1.5cm以上空いているような感覚があるということは、前歯しか 接触せず臼歯がかみ合っていない状態であると推測しますが、これでは食事もままならずとても不自由ですよね。
また、下顎が前に出ていることによって下顔面が長くなっているようですね。眼の下の黒ずみの原因は不明ですが、顔面表状筋の張り具合が変化したために生じた可能性があります。
残念ながら、このような症状に対してどんな治療を行うべきかについての明確な答えはないと思います。矯正によって下顎が前方に移動したのですから、単純に考えれば下顎を後方に戻せばよいのですが、確実に戻せる方法がないのです。
あえて挙げるとすれば、矯正治療でⅡ級の顎間ゴムやチンキャップを用いる方法や、整形外科で使用する創外固定装置を取り付けて下顎を牽引 する方法が考えられます。他に下顎骨骨切り術で下顎を回転移動させる、顎関節の関節腔を開いて下顎頭を後方へ牽引するなどの手術が考えられます。

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