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ビスフォスフォネート製剤

薬剤・機材 2018年03月01日

骨粗鬆症の治療薬は数種類ありますが、ビスフォスフォネート製剤は脊椎のドミノ骨折や大腿骨頸部骨折を顕著に予防する効果があるとされています。
骨は硬く丈夫でずっと同じ状態を保っていますが、内部では活発な生命活動が繰り広げられています。
皮膚や粘膜は新陳代謝によって表面が剥がれ落ちて新しい表面が形作られ、常にみずみずしい状態を保っていますが、骨にも同様の新陳代謝があります。骨の内部にある破骨細胞が古くなった骨をどんどん消化していく一方で、骨芽細胞が新しい骨組織を生み出していきます。
破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨添加が同時並行で繰り返される骨の新陳代謝を、リモデリングといいます。
骨粗鬆症は骨のリモデリングに異常が生じ、破骨細胞による骨吸収が過剰になる病気です。結果として、骨は中身に乏しいボソボソとした状態となり骨折しやすくなりますが、ビスフォスフォネートは破骨細胞の働きを抑制して骨吸収を防ぎます。
ビスフォスフォネートは1885年にドイツで合成された化合物で、当初は水道管の水垢防止剤として使用されました。やがて1968年にドイツのフライッシュらが骨吸収抑制作用を発見し、その後骨粗鬆症に用いられるようになった薬剤です。ボノテオ錠のように4週間に1回服用するタイプのビスフォスフォネート製剤は、飲み忘れることもなく確実な効果が期待できます。
薬剤関連顎骨壊死
ビスフォスフォネート製剤は高齢者の健康維持に貢献する一方、顎の骨が壊死するなど重大な問題が報告されています。抜歯後の傷が治らず、骨が広い範囲で腐っていくことを薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)といいます。予防策として、抜歯などの手術前にはビスフォスフォネートの服用を中止すべきという説もあります。
ビスフォスフォネート製剤が顎骨壊死を引き起こす原因とは何でしょうか。虫歯や歯周病は細菌感染により生じる病気ですから、進行すると歯の周囲の顎の骨にまで細菌が侵入していきます。これに対して骨はリモデリングを繰り返し、細菌に対する防御網を築きます。
このとき、ビスフォスフォネート製剤が破骨細胞を抑制するとリモデリングが阻害され、細菌に対して抵抗できなくなってしまいます。その結果、骨髄炎が生じて骨が壊死していきます。顎骨壊死とは顎骨骨髄炎を意味するのです。

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