痛みを抱える患者さんの中には治療により痛みが軽減しても、よくなったと認識しない人がいます。ましになってはいても痛みが続く限りは問題が解決していないと考えているからです。痛みがある限り治療を受けても意味がないと考えるこのような考えを「ニヒリズム」といいます。
ニヒリズムに基づく痛みはとても治療が難しいものです。これに対する一つの解決法は「戦略的ニヒリズム」です。ニヒリスティックな痛みを感じるのは痛みが完全になくならなければ意味がないと考えるからです。完全になくならなくても少しでも痛みが軽くなればそれでよいと考え、その後完全になくなる方向に近づけてみようと考え方を変えてみます。これを戦略的ニヒリズムといいます。