【相談者】女性 T
72歳の母のことで質問です。唾石症の手術後(12ミリの石を摘出)約5ヶ月過ぎても痛みを伴った舌のしびれが取れません。
今年6月に唾石症の手術(12ミリの石の摘出)を口内(右側)から行い、術後、舌の右半分に軽いしびれ感がありました。ところが、術後 一ヶ月頃よりしびれがひどくなり、痛みも感じるようになり、味覚障害もあり人工唾液サリベートを時々使用していました。8月からは神経修復するようメチコ バール錠の服用を始め、9月には舌の痛みが強いため、舌痛症の薬ロンラックス錠、ドグマチール錠を服用し、20日間で痛みはほとんどとれたため、服用は中 断しましたが、舌の右側はしびれて話しづらく、また以前と変わらず熱いものを口に入れると痛みを感じます。
現在も痛みを伴ったしびれが続いており、食べる時や話す時に舌が動きにくく、症状は改善されていません。何か改善できる方法はないものでしょうか。来週月曜日(28日)に手術した病院で診察してもらうことになっているので、それまでにご返答いただけると幸いです。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
12mmというとやや大きい唾石ですから、顎下腺の導管開口部近くの導管(ワルトン管)内にあったのではないかと推測します。ここにある唾石を口腔 内から 摘出する際には、舌と下顎臼歯部の間の口底粘膜を切開しますが、切開線のすぐ近くに舌神経が走行しているため、摘出の際にこの神経が傷ついてしまった可能 性があります。
確かに舌神経が傷つくと舌の知覚は麻痺しますが、通常は時間の経過とともに神経は徐々に回復するものです。しかし場合によっては神経が治 りきらず、しばらくしてから痛みが生じるケースもあります。その場合は痺れているのにピリピリと痛むことが特徴で、カウザルギーや神経障害性疼痛と称され る難治性の症状に該当します。
これらの痛みに対しては、神経損傷からの回復を促進するビタミンB12製剤メチコバールやベンゾシアゼピン系抗不安薬ロンラックス、抗精 神病薬ドグマチールが処方されますが、実際に効果があったようですね。しかしまだ不十分なようですから、星状神経節ブロックや抗けいれん薬、抗うつ薬など 痛みに対して有効な他の治療法も検討する必要があるでしょう。28日の診察日によく相談されることをお勧めします。