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虫歯と虫歯予防のすべて

虫歯リスクについての考察

口の中に歯があってそこに虫歯菌が存在すれば、虫歯になるのは当然ともいえますが、ご存知のように虫歯が全くできない人もいます。このような人の口の中は、虫歯菌にとって不利な条件が揃っているといえます。では、虫歯になりやすい条件(虫歯リスク)とはどんなものなのかを列挙してみましょう。

リスク1.乳幼児期
乳歯や生えて間もない永久歯は歯自体がまだ未成熟なため、結晶構造が弱く酸に溶けやすいものです。
リスク2.エナメル質形成不全・象牙質形成不全
これらに該当する歯は結晶構造に問題があるため、歯が軟らかく酸に溶けやすいといえます。また、歯の表面が凹んでいる場合もあり、歯垢がたまりやすいという問題点もあります。

歯根露出

リスク3.歯肉退縮・歯根露出
歯肉退縮とは歯周病などによって歯茎がやせている状態をいい、歯根露出とは歯の根が見えている状態をいいます。歯の表面を覆うエナメル質は人体で最も硬い組織であり、骨や爪よりずっと硬いものです。一方、歯の根の表面はセメント質という骨と同程度の軟らかい組織で覆われているため、歯根部が露出すると次々に虫歯ができてしまう場合があります。また、歯根は細く凹み気味の形状を持つため、歯垢がたまりやすいという不利な点もあります。
リスク4.ストレス
過剰なストレスは、唾液の分泌や性状に悪い影響を与えます。虫歯の発生を抑制する機能が鈍ってしまい、結果として虫歯ができやすくなるのです。また、ストレスは食いしばりや歯ぎしりを引き起こす原因ともなり、やはり虫歯のリスクを高めてしまいます。
リスク5.砂糖
虫歯菌の栄養源であり、プラークの主成分でもある砂糖は、できるだけ歯の表面から取り除く必要があります。砂糖分の多い飲食物だけでなく、ネバネバしていて歯に付きやすい食べ物もまた危険で、その中に砂糖を取り込んで虫歯を作りやすい状態にしてしまいます。
リスク6.飲食回数
飲んだり食べたりした後は口の中が酸性になり、その酸で歯の表面が溶け始めます。ここで唾液が緩衝能を発揮して、口腔内を中性に戻すと虫歯は防げますが、ダラダラとした飲食行動を続けると中性に戻る間もなく口の中が酸性化してしまい、虫歯が発生することになります。
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リスク7.噛まない食事
野菜中心の食生活では、噛まないと飲み込めないため、必然的によく噛むようになるものです。また、野菜に含まれる食物繊維が口の中の食べかすを取り除き、豊富に出た唾液が食べかすを洗い流してくれます。ところが、よく噛まずに飲み込んだり水分で流し込むような食べ方では食べかすがあちこちに残り、唾液もあまり出ないため虫歯の抑制効果も期待できません。従って、肉中心のメニューやファーストフード、インスタント食品などの多い食事は、虫歯ができやすい危険な食生活といえるのです。
リスク8.歯みがき
前述の通り、虫歯ができる第一の原因は歯垢(プラーク)にあるため、毎日の正しい歯みがきでしっかりと歯垢を取り除くことが欠かせません。当然ながら、歯みがきを怠ると虫歯になるリスクは高くなります。ここで大切なポイントは、たとえ一日2回3回と磨いていたとしても、肝心のブラッシング方法に問題があると、磨き残しが生じてしまうということです。また、磨くタイミングが適当でない場合も虫歯になりやすいものです。従って、歯科で自分に合った歯みがき方法の指導を受けておくことをお勧めします。
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リスク9.唾液
唾液は、独自の優れた殺菌能力によって、虫歯菌を含むさまざまな口腔内細菌の繁殖を抑え、口の中を清潔に保っています。そして、唾液のもうひとつの重要な役割である緩衝作用により、飲食物で酸性に傾いた口の中を中性に戻すことで、虫歯菌の活動を抑制しています。従って、サラサラした大量の唾液が出なかったり、何らかの事情によって緩衝能力が低下した場合は、虫歯発生のリスクが格段に増加してしまうのです。
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リスク10.食いしばりと歯ぎしり
通常、上下の歯には2~3mmの隙間があり(安静空隙)、接触するのは物を食べるときくらいのものです。ところが、常に上下の歯を接触させていると歯に強い負担がかかり、さまざまな問題が生じてしまいます。この癖を食いしばり(クレンチング)といい、歯が徐々にすり減って短くなると同時に本来の歯の突起や溝がなくなり、平坦な構造になります。さらに、歯肉がやせて歯の根の部分が露出すると、歯自体が崩壊する原因ともなるため注意が必要です。また、就寝中によく見られる歯ぎしりも、食いしばりと同様の問題が生じてしまいます。結果的に、歯の外側の最も硬く丈夫な部分が失われ、内部の弱い部分が露出してしまうため、虫歯になりやすくなるのです。
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リスク11.不良修復物と不良補綴物
虫歯になった歯には、虫歯になるだけの理由が必ずあります。また、虫歯の治療にはいくつものステップがあり、そのいずれかの過程で生じた若干の誤差や誤りが、最終的に大きな問題となって残る場合があります。特に、歯科医がその問題点に気付くことなく治療を終えてしまうと、その歯は再び虫歯になる可能性が高いといえます。従って、残念ながら一度虫歯になったすべての歯を元の状態に戻すのは、不可能ということになります。