WEB予約

削らない、抜かない治療法

むし歯のできやすさ

人体で最も硬い組織は歯です。その歯に対して虫歯菌は酸で溶かして軟らかくし、穴を開けてしまいます。虫歯菌は人間が食べた砂糖(ショ糖)を原材料として酸を作るため、虫歯ができやすい人は虫歯菌が酸を作る力が強いともいえます。その能力を簡単に調べる方法が「CAT21ファスト」という検査です。

CAT21ファストの原理を説明しましょう。虫歯菌であるミュータンス菌は、砂糖(ショ糖)が分解されて生じたブドウ糖を利用してプラーク(歯垢)を作るとともに、このブドウ糖から酸も作り出します。CAT21ファストの試験薬中にはブドウ糖入りの培養液が入っており、ここに採取したプラークや唾液を入れて37℃に保った培養器(インキュベーター)で20分間培養すると、培養液の色が変化します。即ちミュータンス菌が産生した酸の量によってpHが変化し、それを色の変化として表すシステムになっているのです。

虫歯菌がブドウ糖から酸を作る能力を調べる「カリオスタット」は、従来から普及している検査です。カリオスタットでは虫歯菌を48時間培養するため、検査結果は次の治療の際にお知らせすることになります。これに対してCAT21ファストはたったの20分なので、その場で結果が判明するという利点があります。

CAT21ファストにより虫歯菌が高い酸産生能を持っているとなった場合は、虫歯リスクが高いと判断されるため十分な注意が必要です。しかしその前提として、虫歯菌の酸産生能が高いこと=虫歯リスクが高い、虫歯になりやすいということではありません。虫歯になるリスクはこれだけでは決まらないのです。

「虫歯のできやすさ」には4つの要素が関係しています。虫歯菌の酸産生能が高いということ。酸の原材料になる砂糖が多い、即ち甘いものをよく食べるということ。また歯の質が弱く、歯が柔らかくて酸に溶かされやすいこと。唾液は歯を強くし、虫歯菌の繁殖を抑えて酸を中和する働きがあり、虫歯から歯を守る主役ですから、唾液の働きが悪い場合や唾液の出が悪い場合にも当然虫歯になりやすいといえます。以上をまとめると、虫歯のできやすさは以下の4要素で決まるといえます。

1. 砂糖摂取量
2. 虫歯菌の酸産生能
3. 歯の強度
4. 唾液の量と能力