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動水力学説と象牙質知覚過敏症

歯に水や空気が当たるとしみる知覚過敏の状態に対して「象牙質知覚過敏症」という病名が付けられています。知覚過敏が生じる仕組みには昔から諸説が唱えられてきました。その中で最も有力なのが「動水力学説」です。
歯の表面はエナメル質で覆われています。エナメル質は人間の体で最も硬い組織であり、強い噛む力がかかってもそう簡単に壊れることはありません。
一方で歯の根の表面はセメント質で覆われていて、こちらはエナメル質ほどは丈夫ではありません。健康な歯であれば歯の根は歯肉の中に隠れているためセメント質の強度が低くしても問題にはなりません。ところが歯周病が進行するなどで歯肉がやせて歯根が露出すると、セメント質は容易に擦り減りその下の象牙質が露出してきます。
象牙質は象牙細管という管が束になったような構造をしています。象牙細管の一方の端はエナメル質やセメント質と接していて、もう一方の端は歯の神経(歯髄)に接しています。虫歯菌の産生する酸や歯磨きの圧力が強くすることなどによりセメント質が剥れ落ちると象牙質が露出し、すなわち象牙細管の断端が露出します。この部分に刺激が加えると、象牙細管内組織液の流れに急激な変化が生じ、反対側の断端にある歯髄に伝わります。この時に痛みやしみる感じを覚えるのです。
このような象牙細管内の水分の移動により痛みが発生すると考える学説が動水力学説です。この説を元に象牙質知覚過敏症を改善する手段には3通りのものがあります。最初は神経を麻痺させる「鈍麻」です。2つ目は神経の先端部分を変性させる「収れん」です。3つ目は象牙細管自体を塞いでしまう「封鎖」です。治療法はこの3通りのいずれかを単独でもしくは複数の方法を組み合わせて行います。

 

 

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