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早期診断法

加齢と根面う蝕

根面う蝕は年齢が高くなるほど増加する傾向にあります。その最大の理由は、根面う蝕は歯肉の退縮により罹患しやすいものの、若年者では歯痕が歯肉でしっかりと覆われていて根面の露出があまり見られないからです。歯冠でさえ萌出が完了せず、一部が歯肉で覆われている場合もあるほどです。小峰らの報告によると、70歳代の根面う蝕罹患率は65%であり、80歳代では70%です。

歯肉が退縮する主な理由として、歯周病の進行が挙げられます。歯周病にかかると歯肉の発赤や腫脹、出血などの症状が起こり、進行すると歯を支える周囲の骨(歯槽骨)が溶けて少なくなり、歯肉も痩せてきて歯根が露出します。これらの症状は一般的に年齢が高くなるほど高頻度に見られるため、年齢が高くなるほど根面う蝕が生じやすくなるのです。

また、加齢に伴って口が乾燥しやすくなることも理由として挙げられます。加齢により筋力が低下して唾液の量が減っているときに糖尿病や腎臓病などの病気にかかると、一層乾きやすくなります。他に、高血圧や前立腺肥大などの病気に対する治療薬の副作用でも唾液分泌量が低下する場合があります。このように、口が乾くと虫歯の発生を抑える唾液の働きが低下して根面う蝕が生じやすくなるのです。

高齢者の中には、手が不自由で歯みがきが上手にできない人、目が見えにくいため磨き残しに気が付かない人、寝たきり状態や認知症などで歯磨きが難しい人もいます。このような事実もまた、年齢の上昇に伴って根面う蝕が増加する理由といえます。