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チーズでむし歯予防!?

待ち望んだ結果

いよいよ20分間が過ぎました。唾液と検査薬を混合したチューブがピンクであれば酸産生能力が高い、紫色であれば酸産生能力が低いという結果を示します。つまり紫色は抗蝕効果が高いということ。「紫色になれ」と念じながら、根本ディレクターがインキュベーターのふたを開けるのを見守りました。

培養が終わったチューブの色が見えました。ピンクです。ただ、底の方には紫色の沈澱があることもわかりました。チューブを取り出した塚本さんがやおら底に沈殿した紫色の部分を撹拌し始めると、チューブ全体が期待通りに紫色に変わったのです。どうもうさん臭く感じられる結末ですが、塚本さんに聞くとチーズ入りの唾液は粘稠で底に溜まってしまうということでした。予備実験でも同じことが起こり、培養後に撹拌して色を確認したようです。どうやらチーズを噛んだ場合にはどうしても撹拌が必要なようです。

ともあれ実験は無事に終了しました。結果をよく観察すると噛む前の唾液はピンク色で、ガムを噛んだ時の唾液は淡いピンク色にやや変化し、チーズを噛んだ時の唾液は淡い紫色に変わっています。むし歯になりやすい唾液が「ただ噛むこと」「チーズを噛むこと」で段階的に虫歯になりにくい唾液に変化したことが鮮明に読み取れました。この三つのチューブを並べてカメラに収めることができ、テレビスタッフもホッとした面持ちです。しかし、今回の実験を成功させることがいかに困難であったのかを、根本さん達は真の意味では理解していないはずです。唯一それを知っていた私の安堵感は最高潮に達していました。